アルちゃんが、食品衛生や感染症に関する疑問を社内の専門家に尋ねます!
第8回 衛生コラム
テーマ:食品添加物について
株式会社アルボース
生産開発本部 商品クリエイト部 衛生システム西日本開発課
倉野 光生
FSMS審査員補(JRCA登録No.F1157)
今回は食品の製造過程、食品の加工、食品の保存等の目的で使用される食品添加物について解説いたします。
1.食品添加物とは
食品添加物とは、味の調整、着色、保存性の向上、などの目的で使用される物質のことで、食品衛生法第4条では、次のように定められています。
「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。」
原則として厚生労働大臣が指定した食品添加物だけが使用でき、未指定の添加物を製造、輸入、使用、販売等することはできません。食品添加物は下記の4つに分類されます。
- 指定添加物: 安全性を評価した上で厚生労働大臣が指定しているもの
- 既存添加物: 我が国において既に使用され、長い食経験があるものについて使用・販売などが認められているもの
- 天然香料: 動植物から得られる天然の物質で食品に香りを付ける目的で使用されるもの
- 一般飲食物添加物: 一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるもの
2.食品添加物の用途
食品添加物の用途は、例えば下記のように様々なものがあります。
表1
種類 |
用途 |
食品添加物の例 |
甘味料 |
食品に甘みを与える |
キシリトール、アスパルテーム |
着色料 |
食品を着色し、色調を調整する |
クチナシ黄色素、コチニール色素 |
保存料 |
カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性を向上させる |
ソルビン酸、しらこたん白抽出物 |
増粘剤、安定剤、ゲル化剤 |
食品に滑らかな感じや粘り気を与え、安定性を向上させる |
ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム |
酸化防止剤 |
油脂などの酸化を防ぎ、保存性を良くする |
二酸化硫黄、ビタミンC |
発色剤 |
ハム・ソーセージなどの色調を改善する |
亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム |
漂白剤 |
食品を漂白し、白く、きれいにする |
亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム |
防かび剤 |
輸入柑橘類などのかびの発生を防止する |
オルトフェニルフェノール |
3.成分規格と使用基準
食品添加物には成分規格と使用基準があります。これらは、食品健康影響評価結果に基づき、薬事・食品衛生審議会で設定されています。それぞれ、下記の目的があります。成分規格が適切でも、決められた量以上に添加すると、健康へ悪影響を及ぼす可能性があります。適切に製造された食品添加物を、適切な方法で使用することが重要です。
表2
成分規格 |
使用基準 |
品質の安定した食品添加物が流通するようにするため。
純度や成分について遵守すべき項目
|
過剰摂取による健康影響が生じないようにするため。
食品添加物ごとに添加できる上限値など
|
4.表示
食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するために、食品表示法があります。食品表示法は、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した一元化された制度として平成27年に制定されました。食品添加物もこの法律の対象で表示義務があり、「添加物欄」又は「原材料名欄」に、重量の割合の高いものから順に、原則、当該添加物の物質名で表示されます。例外として、以下の食品添加物は表示不要となります。
表3
表示不要な食品添加物 |
(例) |
加工助剤 |
食品の加工の際に添加される物であって、下記のもの。
・食品の完成前に除去される
・食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではない
・食品中の含有が少量かつその成分による影響を当該食品に及ぼさない
|
プロセスチーズ製造時に炭酸水素ナトリウム(重曹)を用いたとしても、加熱融解の工程で大部分が分解してしまい最終食品への残存はごく微量になる場合 |
キャリーオーバー |
食品の原材料の製造又は加工の過程で使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程で使用されない物であつて、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少量しか含まれていないもの |
保存料が使用されている醤油でせんべいを味付けし、ごく微量の保存料がせんべいに持ち越されるが、非常に少量のためせんべいに保存料の効果がない場合 |
栄養強化の目的で使用されるもの |
食品の製造工程中に減少してしまうビタミンC等の栄養素を補うために、減少した分を添加する場合 |
5.アルボースの製品
アルボースの製品では例として下記のものが食品添加物となります。
まな板、食器、野菜、果物の除菌や、ふきん、おしぼりの漂白、に使用できる漂白・除菌剤
調理場内の器具、機械類の清掃に使用できるエタノール重量濃度68w/w%のアルコール製剤
参考:食品衛生法、食品衛生法施行規則
食品表示法
厚生労働省WEBサイト食品添加物「よくある質問(消費者向け)」
消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識(消費者向け)」