2022.02.21 第4回衛生コラム 解説!Codex 食品衛生の一般原則2020(前編)

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第4回 衛生コラム

テーマ:解説!Codex 食品衛生の一般原則2020(前編)

株式会社アルボース
生産開発本部 商品クリエイト部 衛生システム東日本開発課
伊井 宏
FSMS審査員(JRCA登録No.F1099)

Codex食品衛生の一般原則が2020年に大きく改訂されたことから、主なポイントをまとめました。
前編は「Codexの基本と主な変更点」、後編は「主な3つの改訂ポイント」を解説いたします。
まず、前編です。

Codexとは?

Codexとは、正式には、FAO/WHO合同食品規格委員会といい、国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)が合同で、国際貿易上重要な食品について、国際的な食品規格を策定するための組織として1963年に設立しました。この委員会は通常、コーデックス食品規格委員会と呼ばれ、ここで策定された規格がコーデックス食品規格です。

コーデックス食品規格委員会の主な業務は、国際的に流通する食品の規格又は衛生規範等を作成することで、次の3つを主な目的としています。

① 消費者の健康を守る
② 食品貿易の公正を保障する
③ 国際政府機関及び非政府機関によって行われる全ての食品規格業務の調整を図

 

食品衛生の一般原則とは?

 「食品衛生の一般原則」とは、コーデックス委員会が1969年に採択した世界における食品衛生の原則となるものです。我が国でもこれに基づき、食品衛生法で衛生管理基準が定められ(表1)、「一般衛生管理」と呼ばれてきました。また、1993年に付属文書として「HACCP適用のための指針(HACCP 7原則12手順)」が提示されて以降、HACCPシステムの国際標準として、規制機関や食品事業者等に活用され、我が国でも、2018年の食品衛生法の改正で、全ての食品関連事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられました。
この度、「食品衛生の一般原則(GHP)」は、「HACCP適用のための指針(HACCP 7原則12手順)」とともに、「GHPとHACCPとの関係の明確化」、「妥当性確認と検証の明確化」などの抜本的な見直しが行われ、2020年に大きく改訂されました。





食品衛生の一般原則2020の主な変更点

共通部分

・食品安全へのマネジメントコミットメント(食品安全文化を含む)が導入された。
・一般原則が新設された。
・文書全体の定義が示された(以前は本体文書および付属文書それぞれに定義があった。)。
・“より大きな注意が必要なGood Hygiene Practice(GHP)”を意味する“ GHP requires greater attemtion”の概念が導入された。

定義

・HACCPの定義が削除され、HACCPプラン(食品事業における重要なハザードを確実にコントロールするために、HACCPの原則に従って用意された文書または一連の文書)とHACCPシステム(HACCPプランの作成およびそのプランに従って手順を実施すること)の二つの定義が新設された。
・GHPとHACCPを合わせたFood Hygiene Systemの定義が新設された。
・Significant Hazardの定義が新設された。

GHP

・食品等の取扱い(旧セクション5、新セクション7)に製品およびプロセスの記述、GHPの効果に対する考慮、GHPのモニタリングおよび改善措置、検証ならびにアレルゲン管理が追加され、従前あったハザード管理の部分が削除された。また、使用水の規定が水および水から作られる氷および蒸気はリスクベースのアプローチに基づき、意図する目的に適合すべきであると改訂された。
・アレルゲンコントロールに関する事項が追加された。

第2章HACCP

・ハザード分析の重要性およびハザード分析では重要なハザードを特定することが強調された。
・原則6に妥当性確認と検証のサブセクションを設けた。

その他

GHPの管理手段とCCPの管理手段の対比表を作成した。

参考:(公社)日本食品衛生協会「Codex食品衛生の一般原則2020 -対訳と解説- 」




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解説!Codex 食品衛生の一般原則2020後編」に続くから、みてね。